マレーシアの日常会話のご紹介
マレー半島とボルネオ島の一部を領域とする東南アジアの国がマレーシアです。
人口がおよそ2300万人の発展途上国ですが、毎年5%ほどの経済成長を続けています。
マレー系、中国系、インド系など多様な先住民族が暮らしています。
尾の国の公用語はマレーシア語です。
外国語を勉強するときに、最初に挨拶を覚えるのが一般的です。
マレーシア語で「おはようございます」と言いたい場合、「スラマッパギ」と発音します。
しかし、マレーシアでは「スラマッパギ」以外にも挨拶代わりになる言葉があります。
彼らの習慣からマレーシアの文化を探っていきます。
「ごはん食べた?」が挨拶言葉
マレーシア語で「スダッ・マカン?」。
直訳すると「ごはん食べた?」です。
マレーシア人はこの言葉を挨拶するときに使います。
相手に食事をしたかを確認するというよりは、「元気にしているか?」という意味合いが強いです。
「ごはん食べた?」を挨拶言葉にするマレーシア人にとって、食事という行為はどのような意味を持っているのか見てみます。
食を通じて交流する文化
マレーシア人にとって食事はコミュニケーションの中心です。多くの民族が暮らすマレーシアでは、それぞれの民族の伝統食を皆で食べることで、お互いの文化を理解して絆を築きます。食を通じて文化交流する行為を重視しています。家族や同僚と1つのテーブルを囲んで食事をすることが多く、1人で食事をする人はあまりいません。
街中には早朝から夜遅くまで屋台が開いており、簡単に食事をとることができる環境にあります。1日3食を外で食べることも珍しくありません。さらに、メニューの価格は安いため多くの市民が利用できます。たとえ、仕事が忙しくてお金がなくても自炊に時間を割くことも避けられます。
日本で「ごはん食べた?」と挨拶しない背景
マレーシアと違い、日本では挨拶するときに「ごはん食べた?」という習慣はありません。
その理由は、日本では食事をする時間がないビジネスマンや経済的な事情でごはんが食べられない市民が一定数いるからだと思います。
例えば、朝早くから働かなければならない場合、睡眠時間を少しでも確保する代わりに朝食を抜くことがあります。
また、貧困家庭では朝ご飯を食べずに登校する学生がいます。
日本でこども食堂が普及しつつある背景にはこのような事情があります。
つまり、マレーシア人のように誰もが1日3食とることができない環境にある国で「ごはん食べた?」というフレーズが、あいさつ言葉にならないと思います。
豊かさの定義を見直す
日本の1人当たりのGDPはマレーシアのおよそ3倍もあります。
しかし、互いの国の食生活を見マレた場合マレーシアよりも日本が豊かな国であると断言することは難しいです。
誰もが手軽に食事ができる環境を作り出さなければ、日本が真に豊かな国とは言えないと思います。
まとめ
多様な民族が暮らすマレーシアではそれぞれの民族が祖先から食べ物を受け継いでいます。
バラエティ豊かなメニューが多く、マレーシアは美食の国ともいわれています。
この国に暮らす市民は、異なる民族の人々と互いの伝統料理を食べながらお互いを理解します。
食を通じたコミュニケーションはマレーシア人にとって文化の一部です。朝から晩まで食事ができる街中の屋台がその文化を支えています。
一方、日本では貧困や多忙など様々な事情で食事を抜く行為が一般化しています。これらの問題解決の糸口はマレーシアの食習慣にあるのではないでしょうか。
「ごはん食べた?」。この言葉が挨拶代わりに日本中で交わされるようになったとき、日本人1人1人が今よりも豊かさを感じる社会になると思います。